成績が上がるのが遅い子

中学校の定期テストが終わると、子どもたちの答案(英数国理社の5科目)を回収します。子どもたちが、どのような問題を どのように間違えているかを分析するためです。

分析作業をしていて、気づいたことがあります。それは、国語の答案用紙が、パラパラとしか書いていない、白い部分が多い子は、成績が上がるのが、遅いのです。

『自己最高』を更新するまでに、時間がかかります。『自己最高』の更新回数もあまり多くありません。

当初「やる気」の問題と見ていた時期もありましたが、どうやら違うようです。パラパラとしか書いていない部分や、他の科目の答案用紙をよく見て見ると、設問の内容とは、異なる頓珍漢な回答が多いことに気が付きました。

本人に、「どうして、こう答えたの?」と尋ねると、意味不明な答えが返ってきます。しつこく聞いてみると、多くの場合、設問の意味を理解できていない場合がほとんどでした。

中には、本人の解釈した内容に沿って考えれば、「なるほど、そうかもね」と言える回答もあったりしますが、ほとんどの場合、本人の解釈が、設問の本意とは異なっていたり、かけ離れていたりしているので、なかなか正解にはなりません。

実際にやり取りしている授業中なら、本人の誤解をこちらが訂正できるわけですが、テストの時には、その誤解に自分で気づけないと、誤解をしたまま進んでしまうことになります。

授業中でも、問題の中身の説明よりも、問題文が何を言っているかを説明しないといけない場合が多々あります。

数学で、類題演習をしている最中でも、ちょっと問題文の言い回しが変わると、それが原因で先に進めなくなる子が割りと多くいます。数学がわかっていないというより、問題文の日本語が、つかめていないことが多かったりします。

これは、大変です。

私たちは、日本語で生活しています。テストの問題も英語の一部を除けば、すべて日本語です。先生の解説も、教科書の説明も日本語です。

その日本語の力が弱ければ、吸収力も弱いものになってしまいます。テストで何点取れるかは、その子の日本語の力に大きく左右されていることになります。

同じ授業を、同じ時間受けても、点数に差が出るのは、もちろん、「やる気」の問題もあるでしょうが、より本質的な問題は吸収力の差です。同じことを聞いても、吸収する量に差があります。

多分、これは、学生時代の成績の問題だけではないと思います。子どもたちが社会人になった時、どんな仕事であってもその分野の勉強は必要です。

超情報化社会の現代では、凄まじいスピードで変化しています。つねに、勉強をして手持ちの知識をグレードアップしないと時代についていけません。

そんな中で、吸収力が弱い、ましてや、勉強が嫌いということは、かなり不利な状況になっていることが想像されます。

すごいデータがあります。

岸本祐二氏(百ます計算の生みの親)が、著書の『学ぶ力と伸びる力』で語彙力の差を指摘していました。

小1段階で、成績上位の子は約7000語、下位は2000語の語彙数です。小6段階で、上位の子は約37000語、下位の子は約8000語の語彙数です。3倍以上の差があるそうです。これだけ違えば、同じ話を聞いても、理解できる量にすごい差があることが容易に想像できます。

では、対策編に入ります。

ここで言う日本語の力とは、語彙力と理解力です。文学的な言い回しの理解力や読解力や表現力は、もう一段上の国語の力です。一般に、語彙力が多ければ多いほど、理解力は高まります。

理解力は、元からの頭の良さと考える人もいますが、大きくは語彙力に依存しています。語彙力が多いということは、似たものをわずかな違いで、分類できる力があることなので、理解できる範囲が広がっていることになります。

語彙力は単純に知識量に比例します。今までのインプット量です。インプット量は、いわゆる勉強だけでなく、今までの日常生活全てが対象になっています。語彙力が弱い子は、インプット量が不足しているだけなのです。

語彙力アップ作戦 音読

語彙力を増やすための自習方法は、文章を音読して言葉を自然に覚えることです。実際に、どんな読み方をしているのか何人かに試してみました。ある程度の予想はしていましたが、聞いていて、何を読んでいるのか、わからないほどの読み方なのです。そして、納得しました。 これでは…。

試しに、国語か社会の教科書を音読させて見てください。話すより少し遅いスピードで、読めなかったら、黄色信号です。


生きた文章の中で、言葉を覚える方が、活用も容易にできるようになります。毎日5分~10分間の音読しましょう。子どもに、国語教科書を音読させてみて、話し言葉とほぼ同じスピードで音読ができない場合は音読練習対象者です。

音読でスムーズに読めないということは、黙読でもスムーズに読めていません。授業の理解度に悪影響が出ていると考えていいと思います。

対象となる本は、なんでも構いません。サッカーの好きな子ならサッカーの本、ゲームが好きな子ならゲームの本で大丈夫です。音読することで、語彙力や黙読能力を高めたいので、どんな本でも問題ありません。

人が一番楽しさを感じるのは、ちょうどいい難易度の課題に取り組んでいる時なので、ちょうどいいレベルのものを選べばいいのです。難しすぎても、簡単すぎても、やる気は起きません。

何がいいか困ってしまう場合は、社会(理科)の教科書の音読がいいと思います。どうしてかというと、社会・理科の方が、効果が出るのが早いからです。語彙力や黙読能力を高めるのが目標ですが、それらは目に見えにくいので、効果を感じられるまでに時間がかかります。

だから、早く効果が出る科目で、練習るす方が、子どものモチベーション的には、賢明です。

家でやる練習なので、恥かしくはないので、思い切って小学生の社会の教科書の音読練習から始めた方がより効果的です。

恥かしいで思いだいました。音読ですから、しっかりと声を出して、音読してください、黙読はダメです。
中学生、高校生になって、音読と馬鹿にしないで、しっかり音読してください。英語のシャドーイングも同様です。

語彙力アップ作戦② 書写

語彙力を上げる2つ目の方法は書写です。これは、語彙力だけでなく、論理力・作文力などが身につく最強の勉強法です。

よく『天声人語』と言いますが、内容が固すぎるし、子どもには面白くないと思いますので、新聞の文化欄や一般人の投稿、または、ニュースで興味を持った記事でも十分です。量も、1週間に1つ、2つで十分です。でも数か月は続けてください。

実は、書写は文章を書くことを仕事にしている人たちも、修行時代にする練習方法です。

できることろから始めてください。少しずつ継続していくことが大切です。語彙力は、一夜で解決できる問題ではありません。それこそ、十何年分の集積です。でも、始めないと今のままです。

「先生。お久しぶりです」

メールがホームページに来ました。


誰かなと見ると昔の塾生でした。GWに時間があったので、検索してみたらヒットしたとかで、このマンガ(下部に掲載)を送ってきてくれました。10年数年前の卒業生です。ストーリーは彼自身が中学生の時に感じていたことだそうです。

「なんか いつも先生に乗せられて、結局はやっちゃうんだよな。でも嫌じゃなかった。楽しかったですよ」

今、こんな仕事(マンガのアシスタント)しているから、締め切り前は徹夜続きになることがよくあるんですけど、そんな時 あの中3の夏のLong Runを思い出すことがあるんですよ。あれで鍛えられましたからね。あれは今でも俺の財産です。このマンガはそのお礼です。好きなように使って下さいとのことでした。

うれしいですね。大人になっても、塾で過ごした経験を感謝してくれる。先生冥利につきます。ありがとう。

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