〜子どもの勉強が変わる「覚え方」の話〜
「うちの子、何回やっても覚えられないんです」
これは保護者の方から本当によく聞く言葉です。
英単語を覚えたはずなのに、次の日には忘れている。
社会を何度も見直したのに、テストでは出てこない。
漢字も練習したのに、また間違える。
そんな様子を見ると、つい
「記憶力が弱いのかな」
と思ってしまいますよね。
でも、子どもたちを見ていると、実際には記憶力そのものより、覚え方の違いのほうがずっと大きいと感じます。
同じ子でも、覚え方が変わると、残り方が変わります。
つまり、記憶は「才能」だけで決まるものではなく、やり方でかなり変わるのです。
覚えられない子は、サボっているのではなく「残るやり方」になっていないことがあります
勉強がなかなか定着しない子に多いのは、
- ノートを見て終わる
- ワークを一度やって終わる
- 何となく眺めて「やった気」になる
というやり方です。
でも、これでは頭に残りにくいです。
脳は、ただ見ただけの情報を「大事」と判断しにくいからです。
反対に、覚えやすい子は自然と、
- 声に出して読む
- 書きながら覚える
- イメージをつける
- 小さく分けて覚える
- 何回かに分けて繰り返す
ということをしています。
特別な才能ではありません。
覚え方に工夫があるかどうか。
ここが大きいのです。
記憶のコツは、「印象を強くすること」です
大人でも、面白かった出来事はよく覚えているのに、ただ聞いただけの話はすぐ忘れてしまいますよね。
脳は、印象に残ったものを覚えやすいのです。
ですから勉強でも、ただ丸暗記しようとするより、
- イメージをつける
- 少し大げさに思い浮かべる
- 声に出す
- 色や印をつける
といった工夫を入れたほうが残りやすくなります。
「覚えよう、覚えよう」と力むより、
頭に残りやすい形に変えるほうが大事なことも多いのです。
「場所」と結びつけると、記憶しやすくなることがあります
記憶の方法として有名なのが、場所と結びつけて覚える方法です。
難しそうに聞こえますが、やることは意外とシンプルです。
たとえば、覚えたい言葉や出来事を、自分の家の玄関、ポスト、交差点、階段、コンビニの前など、よく知っている場所に置いていくようにイメージするのです。
思い出すときは、その場所を頭の中で順番にたどっていきます。
これは、脳が「場所」を覚えるのが得意だからです。
見慣れた場所に、覚えたいことを乗せるイメージですね。
実際に、こんなふうに覚えてみた子がいました
以前、社会、特に歴史がなかなか頭に入らない子がいました。
人物名も出来事も、一つひとつは見たことがあるのに、流れになるとすぐ混ざってしまうのです。
そこで、その子には
家から学校までの道で覚えてみよう
と話しました。
毎日歩いている道なら、
「家を出たところ」
「最初の交差点」
「郵便ポストの前」
「コンビニのところ」
といった目印は、すでに頭に入っています。
そこで、歴史の出来事をその道に置くようにしてみたのです。
たとえば、
- 家の前で、だれだれが何をした
- 最初の交差点で、その結果こうなった
- 郵便ポストの前で、次にだれだれがこう動いた
- コンビニの前で、そのあとこう変わった
というふうに、出来事を道順に並べて覚えていきました。
すると、その子が
「ただ名前だけで覚えるより、流れで思い出しやすい」
と言ったんです。
これはとても大事な感覚です。
覚えるのが苦手な子でも、場所と結びつけるだけで頭に残りやすくなることがあります。
特に歴史のように「流れ」が大切なものとは相性がいい方法です。
いちばん基本で、いちばん効くのは「声に出す」「書く」です
家庭でいちばん取り入れやすいのは、やはりこの2つです。
声に出す
書く
覚えたいことを、目で見るだけでなく、
- 口で読む
- 耳で聞く
- 手で書く
こうしていくと、記憶に残りやすくなります。
たとえば、
- 英単語を声に出して読む
- 社会や理科の用語を見ながら書く
- 漢字を読みながら書く
こうした基本は、やはり強いです。
「見て覚えなさい」だけで終わるより、ずっと定着しやすくなります。
一度にたくさん覚えようとしないことも大切です
覚えるのが苦手な子ほど、一気に全部やろうとして止まってしまうことがあります。
でも、脳は大量の情報を一度に入れようとすると疲れます。
ですから、覚えるときは小さく分けることが大切です。
- 英単語なら10個ずつ
- 地理なら地域ごと
- 歴史なら時代ごと
- 理科なら単元ごと
このように区切るだけで、かなり取り組みやすくなります。
ご家庭でも、
「全部覚えた?」
ではなく、
「今日はどこまでやる?」
と聞いてあげるほうが、子どもは前に進みやすいです。
記憶は、一回で入らなくて普通です
ここは親御さんにもぜひ知っておいていただきたいところです。
一回で覚えられないのは、だめなことではありません。
むしろ普通です。
大事なのは、
何回触れたか
です。
- その日のうちに1回
- 次の日にもう1回
- 数日後にもう1回
このように、少し間をあけながら繰り返すと、脳は「これは大事な情報だ」と判断しやすくなります。
覚えられないから才能がない、ではありません。
覚えるまでの回数が足りていないだけ、ということも本当に多いです。
少し変化をつけると、頭が目を覚ますことがあります
ずっと同じやり方で漫然と勉強していると、頭が慣れてしまうことがあります。
そんなときは、少しだけ変化をつけると効果的です。
たとえば、
- いつもと違う場所でやる
- 時間を決めてやる
- 声に出してみる
- 解く順番を変える
- 色ペンや印のつけ方を変える
ほんの少しで大丈夫です。
脳は「いつもと違う」と感じると、情報を受け取りやすくなることがあります。
ご家庭での声かけは、「もっと頑張れ」より「どう覚える?」です
保護者の方におすすめしたいのは、こんな声かけです。
「どうやって覚える?」
「今日は10個ずつに分けてみようか」
「声に出してみる?」
「昨日やったところ、もう一回見てみようか」
こうした言葉は、
「もっと頑張りなさい」
よりもずっと実際的です。
子どもは、覚えられないと
「自分は記憶力が悪い」
と思い込みやすいです。
でも本当は、記憶力の問題というより、覚え方の問題であることが少なくありません。
だからこそ、親が責める人ではなく、やり方を一緒に探す人になってあげると、子どもは前向きになりやすいです。
最後に
記憶力は、生まれつきの才能だけで決まるものではありません。
覚え方を変えるだけで、残り方はかなり変わります。
- イメージを使う
- 声に出す
- 書いてみる
- 小さく分ける
- 繰り返す
- 少し変化をつける
どれも特別なことではありません。
でも、続けるとしっかり差が出ます。
「うちの子、覚えるのが苦手で…」
と感じたら、まずは
記憶力を責めるのではなく、覚え方を変えてみる
ところから始めてみてください。
ご家庭で少し工夫するだけでも、勉強の残り方は変わってきます。
まずはひとつ、今日から試してみてくださいね。



