パーセント・速さ・単位量を、たった一つの考え方でつなぐ方法
「計算問題ならできるのに、割合になると急に手が止まる」
「パーセントの問題では、かけるのか、わるのかを毎回迷っている」
「速さ・時間・距離の公式を覚えても、文章題になると使えない」
お子さんのこんな様子に、心当たりはありませんか。
けれど、どうか、
「前に習ったでしょう」
「公式を覚えていないからできないんでしょう」
と決めつけないであげてください。
割合が苦手な子の多くは、計算ができないのではありません。
数字どうしの関係が見えないまま、いくつもの公式を使い分けようとして混乱しているのです。
実は、「割合」「パーセント」「速さ」「単位量」は、別々の難しい単元ではありません。
対応する二つの量を比べる
すべて、この一つの考え方でつながっています。

私は長年、小学生から高校生までを指導する中で、この考え方を使って割合の問題を整理してきました。
この記事では、毎年夏に学年を問わず行ってきた「割合の学び直し」の集大成として、公式に頼らず、数字の関係から考える方法をご紹介します。
保護者の皆様にも、
「なるほど。これなら子どもが混乱しにくい」
と実感していただけるはずです。
「先生、この問題、変です!」
以前、小学6年生の子が、困った顔で私のところへやってきました。
「先生、この問題、変です!」
その子が困っていたのは、20%増やしたあとに20%減らしたのに、元の金額に戻らない問題でした。
「20%増やして、20%減らしたら、元に戻るはずですよね?」
この疑問は、決しておかしなものではありません。
実は、中学生も同じところで間違えます。
原因は、計算力ではありません。
「その20%が、何をもとにした20%なのか」が見えていないのです。
この問題の答えと詳しい理由は、プロポーションボックスの考え方を確認したあとで、もう一度取り上げます。
まずは、もっと簡単なところから見てみましょう。
800円の20%は、何円?
中学生に、
800円の20%は何円?
と尋ねると、手が止まってしまう子がいます。
けれど、
100円の2倍は何円?
と聞けば、ほとんどの子がすぐに「200円」と答えられます。
この二つは、実はそれほど違う問題ではありません。
「20%」とは、「0.2倍」のことです。
800 × 0.2 = 160
答えは160円です。
「2倍」ならわかるのに、「20%」と書かれた途端に難しく感じてしまう。
これは、子どもの計算力が足りないからではありません。
割合を「特別な公式で解く問題」として覚えてしまい、20%が何を表しているのか見えなくなっているのです。
公式を覚えても、なぜ割合は定着しにくいのか
割合の単元では、よく次のような公式を習います。
- 比べる量=もとにする量×割合
- 割合=比べる量÷もとにする量
- もとにする量=比べる量÷割合
もちろん、これらは正しい公式です。
しかし、割合が苦手な子にとっては、
「どれが比べる量なの?」
「どれがもとにする量なの?」
「今回は、かけるの? 割るの?」
という、新たな迷いが生まれます。
教えた直後は解けるようになります。
ところが、1か月ほどたつと、また「どっちをどっちで割るんでしたっけ?」という状態に戻ってしまうことがあります。
私は長年の指導の中で、この様子を何度も見てきました。
公式だけを覚えた場合、公式を忘れると、考えるための手がかりまでなくなってしまいます。
そこで現在は、最初に公式を選ばせるのではなく、対応する二つの量を並べ、数字の関係を見せるようにしています。
私は、この整理の仕方を「プロポーションボックス」と呼んでいます。
「プロポーションボックス」とは?
難しいものではありません。
対応する二つの量を、縦と横をそろえて表に入れるだけです。
まずは簡単な問題で見てみましょう。
1mで50円のリボンを3m買うと、何円になりますか。
| 長さ | 値段 | |
|---|---|---|
| もとの関係 | 1m | 50円 |
| 求める関係 | 3m | □円 |
1mから3mへ、長さが3倍になっています。
同じリボンを買うので、値段も3倍です。
50 × 3 = 150
答えは150円です。
比例式で表すと、
1m:50円 = 3m:□円
となります。
ただし、最初から比例式の計算方法を丸暗記する必要はありません。
まずは、「こちらが3倍になったら、対応するこちらも3倍になる」という関係が見えればよいのです。
食塩水のパーセントも、同じように解けます
5%の食塩水300gには、食塩が何g溶けていますか。
5%とは、
「食塩水100gに対して、食塩が5g含まれている」
という意味です。
| 食塩水 | 食塩 | |
|---|---|---|
| 5%が表す関係 | 100g | 5g |
| 実際の量 | 300g | □g |
食塩水が100gから300gへ3倍になっています。
したがって、食塩の量も3倍です。
5 × 3 = 15
答えは15gです。
「食塩の量=食塩水の量×濃度」という公式を思い出せなくても、5%の意味がわかれば、自分で考えて答えを出せます。
これが、比で考える大きな利点です。
「全体の何%か」も、全体を100にすれば見えてきます
200個の飴のうち、50個がレモン味です。レモン味は全体の何%でしょう。
| レモン味 | 全体 | |
|---|---|---|
| 実際の個数 | 50個 | 200個 |
| 簡単にした比 | 1 | 4 |
| 全体を100にした比 | 25 | 100 |
50対200を簡単にすると、
50:200 = 1:4
です。
パーセントで表すには、全体を100にします。
4から100へは25倍なので、1も25倍します。
1 × 25 = 25
したがって、レモン味は全体の25%です。
「割合を求める問題だから割り算」と覚えるのではありません。
全体を100とすると、レモン味はいくつになるか。
こう考えると、パーセントの意味そのものが見えてきます。
20%引きは「20%を引く計算」ではありません
300円の20%引きはいくらでしょう。
この問題で、300円から20を引こうとする子がいます。
しかし、300円と20%は単位が違うため、そのままたし算やひき算はできません。
50円から3mを引けないのと同じです。
20%引きとは、
100% − 20% = 80%
になることです。
つまり、
「300円の20%引き=300円の80%」
です。
| 値段 | 割合 | |
|---|---|---|
| もとの値段 | 300円 | 100% |
| 値引き後 | □円 | 80% |
300 × 0.8 = 240
答えは240円です。
消費税込みの値段も、同じ考え方です
260円の商品に10%の消費税を加えると、いくらでしょう。
消費税10%を加えるということは、
100% + 10% = 110%
にすることです。
つまり、もとの値段の1.1倍です。
260 × 1.1 = 286
答えは286円です。
- 税額を求めるなら、もとの値段の10%
- 税込み価格を求めるなら、もとの値段の110%
買い物の場面で、「だいたいいくらになるかな」と予想する習慣があれば、レジの金額が大きく違ったときにも気づけます。
割合は、テストのためだけに学ぶものではありません。生活の中で、自分で判断するために必要な力でもあります。
数字が文字に変わっても、考え方は変わりません
a円の20%引きはいくらでしょう。
文字が出てくると、急に難しく感じる子がいます。
けれど、20%引きが80%になることは、数字の問題と同じです。
a × 0.8 = 0.8a
小学校では300円や800円だった数字が、中学校では a 円に変わっただけです。
小学校で割合の意味を理解していれば、中学校の文字式にもつながります。
だからこそ、小学校の割合は「小学校で終わる単元」ではないのです。
速さも、プロポーションボックスで解けます
時速50kmで3時間進むと、何km進みますか。
時速50kmとは、
「1時間で50km進む速さ」
という意味です。
| 時間 | 距離 | |
|---|---|---|
| 時速が表す関係 | 1時間 | 50km |
| 実際 | 3時間 | □km |
50 × 3 = 150
答えは150kmです。
リボンの問題と扱っているものは違いますが、問題の形は同じです。
プロポーションボックスを使うと、「速さ×時間=距離」という公式がなぜ成り立つのかも見えてきます。
時速を分速に直す問題も、同じです
時速60kmは、分速何mでしょう。
- 1時間=60分
- 60km=60,000m
時速60kmとは、「60分で60,000m進む速さ」です。
| 時間 | 距離 | |
|---|---|---|
| 時速60km | 60分 | 60,000m |
| 分速 | 1分 | □m |
60分から1分へは、 1 60 倍です。
60,000 × 1 60 = 1,000
したがって、時速60kmは分速1,000mです。
混み具合は「1人あたり」にそろえて比べます
Aの部屋には18㎡に9人、Bの部屋には30㎡に12人います。どちらが混んでいるでしょう。
人数も面積も違うため、そのままでは比べられません。
そこで、1人あたりの面積にそろえます。
Aの部屋
18 × 1 9 = 2
1人あたり2㎡です。
Bの部屋
30 × 1 12 = 2.5
1人あたり2.5㎡です。
Aのほうが1人あたりの面積が狭いため、Aのほうが混んでいます。

冒頭の「20%増し・20%引き」に戻りましょう
ここまで読んでいただいたところで、冒頭の小学6年生が困っていた問題に戻ります。
原価の20%増しの定価をつけた商品を、20%引きで売ったところ、12円損しました。原価はいくらでしょう。
まず、原価を100とします。
20%増しの定価は、原価の120%です。
100 × 1.2 = 120
次に、定価から20%引きで売ります。
20%引きとは、定価の80%で売ることです。
120 × 0.8 = 96
原価100の商品を96で売ったので、4だけ損をしています。
| 段階 | もとにする量 | 割合 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 原価 | ― | 100% | 100 |
| 定価 | 原価100 | 120% | 120 |
| 売値 | 定価120 | 80% | 96 |
- 1回目の20%は、原価100をもとにしている
- 2回目の20%は、定価120をもとにしている
同じ20%でも、何をもとにするかが違えば、実際の金額も違います。
だから、20%増やしてから20%減らしても、元には戻らないのです。
問題では、原価100に対して4損したとき、実際には12円損したとあります。
| 比で表した損 | 実際の損 | |
|---|---|---|
| 損した金額 | 4 | 12円 |
| 原価 | 100 | □円 |
4から12円へは3倍なので、原価も100の3倍です。
100 × 3 = 300
答えは300円です。
中学3年生の問題も、考え方は同じです
8月の水道使用量は、7月より25%増えました。
9月の使用量を7月と同じにするには、8月より何%減らせばよいでしょうか。
7月の使用量を100とします。
8月は25%増えたので、7月の125%です。
100 × 1.25 = 125
125から100へ戻すには、25減らす必要があります。
ただし、問題で尋ねられているのは、
「8月の使用量から何%減らすか」
です。
ここで割合のもとになるのは、8月の125です。
25 ÷ 125 × 100 = 20
答えは20%です。
25%増えた量を元に戻すには、20%減らせばよいのです。
ここでも、「何を100%としているか」が答えを左右しています。
プロポーションボックスは、なぜ忘れにくいのか
公式だけを覚えた場合、公式を忘れると、考える手がかりもなくなってしまいます。
一方、プロポーションボックスなら、次の手順で関係を組み立て直せます。
- 対応する二つの量を書く
- 必要なら単位をそろえる
- 一方が何倍になったかを見る
- もう一方も同じように変化させる
忘れてしまっても、数字の関係を見ながら、自分で考え直せます。
「こんなに簡単なの?」
「これも同じ方法でできるんですか?」
「今まで、かけるか割るかを勘で決めていた」
「これなら、なぜこの計算になるのかわかる」
魔法の公式を教えたわけではありません。
もともと数字の中にあった関係を、見える形に並べ直しただけなのです。
なぜ、マックスでは毎年夏に「割合」を学び直すのか
割合は、小学校で一度習ったから終わり、という単元ではありません。
- 中学数学の文字式
- 方程式・連立方程式の文章問題
- 速さや濃度の問題
- 中学理科の密度・圧力・湿度
- 高校数学の関数
- 高校化学の濃度や物質量の計算
私は小学生から高校生までを教えてきたからこそ、
「分数・単位量・割合・速さ」
の理解が、その後の数学や理科にどれほど大きく影響するかを実感しています。
一度説明を聞いて問題が解けたことと、数か月後にも自分で使えることは別です。
そのためマックスでは、毎年夏に学年の枠を越えて、割合や比の考え方を学び直します。
夏は、これからの数学や理科を支える土台を、時間をかけて組み直せる時期です。
| 学年・段階 | 割合を学び直す目的 |
|---|---|
| 小学5年生 | これからの学習の土台をつくる |
| 小学6年生 | 中学校へ進む前の準備をする |
| 中学生 | 文字式・方程式・理科の計算問題につなげる |
ご家庭では「かけるの? 割るの?」にすぐ答えなくて大丈夫です
割合や速さは、日常生活の中でも練習できます。
- 「800円の20%引きなら、だいたいいくらになる?」
- 「消費税を入れると、いくらぐらいになりそう?」
- 「2個で300円なら、6個ではいくら?」
- 「2人分でお肉が160gなら、5人分では何g?」
お子さんから「これ、かけるの? 割るの?」と聞かれたら、計算方法をすぐに教えなくても大丈夫です。
- 「何と何が対応している?」
- 「どちらが何倍になった?」
- 「何を100%としている?」
- 「1人分にそろえたらどうなる?」
答えを教えるよりも、数字の関係に気づかせる問いかけのほうが、長く使える力につながります。
「割合が苦手」で終わらせる必要はありません
お子さんは怠けているわけでも、計算する力がないわけでもありません。
数字の関係が見えないまま、いくつもの公式を使い分けようとして混乱している可能性があります。
対応する二つの量を並べ、その変化を比で考える。
この一つの考え方で、割合、速さ、単位量はつながります。
マックスが目指しているのは、
「公式を覚えているから解ける子」
だけではありません。
たとえ公式を忘れても、
「数字の関係を見れば、自分で考え直せる子」
を育てることです。
一度でできなくても大丈夫です。
数字や場面を変えながら何度も使うことで、少しずつ自分の力になっていきます。
「なんだ。そういうことだったのか」
この実感こそが、その先の数学や理科を支える本当の土台です。
今年の夏も、一人ひとりの理解を確かめながら、この大切な土台を丁寧につくり直していきます。
「うちの子は、このような問題で止まってしまう」
「どの段階まで戻ればよいかわからない」
ということがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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