文章問題は「見える化」で変わる
「計算はできるんです。でも文章問題になると、急に止まってしまって……」
小学5年生くらいになると、こういうご相談が増えてきます。
計算問題ならできる。
でも文章が少し長くなると、
「何算なの?」
「どの数字を使うの?」
「分からない」
となってしまう。
これは珍しいことではありません。
小学校高学年になると、算数は少しずつ、
「計算できるか」だけではなく、
「問題を整理して、どう考えるか」
が問われるようになってきます。
そこで授業で大切にしているのが、
「見える化」
です。
頭の中だけで考えて分からなければ、
図にする。
線を引く。
表にする。
絵にする。
まず、見える形にしてみる。
これだけで、難しそうだった問題が急に分かりやすくなることがあります。
文章問題で、一番もったいないのは「何も書かずに止まる」こと
例えば、こんな問題です。
公園で1日に集めたアルミ缶とスチール缶は、合わせて152個でした。
スチール缶の数は、アルミ缶の数の3倍より16個多くありました。
それぞれ何個ずつあったでしょう。
問題を読んだ瞬間に、
「分からない」
となってしまう子もいます。
でも、この問題。
いきなり式を作る必要はありません。
まず、
アルミ缶とスチール缶の関係を、図にしてみる。
それだけです。

(アルミかんの4倍)+(16こ)が152こです。
152-16=136 … アルミかんの4倍の数
136÷4=34 … アルミかんの数
34×3=102 … スチールかんの数 答え) アルミかん34個 スチールかん102個
図にすると、
アルミ缶が1つ分。
スチール缶が3つ分+16個。
合わせると、
アルミ缶4つ分+16個=152個
という関係が見えてきます。
そうすると、
152-16=136
136÷4=34
と進められます。
アルミ缶は34個。
スチール缶は、
34×3+16=118個。
答えは、
アルミ缶34個、スチール缶118個
です。
大切なのは、この計算そのものではありません。
文章だけでは見えなかった関係が、図にしたら見えた。
そこです。
「分からないなら、まず何か書いてみよう」
算数が得意な子を見ていると、
最初から全部分かっているわけではありません。
分からないときに、
線を引く。
図を書く。
表にする。
数字を書き出す。
こういう動きをします。
つまり、
「分からない=止まる」ではなく、
「分からない=何か書いてみる」
という習慣があります。
これが、とても大きいです。
そして、この習慣は最初から持っている子だけのものではありません。
練習すれば身につきます。
「考える力」は、じっと考えることではありません
「もっと考えなさい」
と言われても、子どもからすると、
「考えるって何をすればいいの?」
となることがあります。
そこで授業では、
「図にできない?」
「1個分は何?」
「分かっている数字を書いてみよう」
「線を引いてみよう」
と、考えるための具体的な動きを作っていきます。
考えるというのは、
頭の中だけでじっと悩むことではありません。
手を動かしながら、問題を整理していくこと。
これも立派な「考える」です。
図形問題でも「見える化」が大切です
図形問題も同じです。
特に立体の問題は、頭の中だけで考えようとすると難しくなります。
例えば、正面から見た形と、上から見た形から、積み木がどのように積まれているかを考える問題。

こういう問題では、
「頭の中で全部想像しなさい」
ではなく、
実際に積み木を置いてみる。
正面から見た図を書く。
上から見た図を書く。
一段ずつ描いてみる。
こうやって、
見えないものを見える形にする
ことが大切です。
例えば、
正面からは3個に見える。
上からは4個に見える。
では、どう積めばその形になるのか。
実際に描いてみます。

でも、最も少ない積み木でという条件があるから、正面から3つ、上から4つに見えるには
「あ~、そういうことか」
と見えてきます。
左から2番目
左から3番目 
一番右 
ここでも大切なのは、見える形にして考えること。
できる子は「特別なひらめき」があるわけではありません
算数の応用問題というと、
「ひらめく子しかできない」
と思われることがあります。
でも、授業をしていると、
実際にはもっと地道です。
分からなかったら図を書く。
数字の関係を並べる。
簡単な場合で試してみる。
一つずつ整理する。
こうしたことを繰り返しているうちに、
「こうすれば考えられる」
という方法が少しずつ増えていきます。
それが結果的に、
「応用問題ができる子」
につながっていきます。
「算数=計算」だけではありません
小学校低学年のころは、
算数というと、
足し算。
引き算。
かけ算。
わり算。
という印象が強かったと思います。
でも高学年になると、
少しずつ変わります。
何が分かっているのか。
何と何が関係しているのか。
どんな図にすれば見えるのか。
どんな順番で考えればいいのか。
こうした力が必要になってきます。
ですから、
算数ができるようになるというのは、
計算が速くなることだけではありません。
分からない問題に出会ったときに、自分で次の一手を出せること。
そこまで含めて算数の力だと思っています。
ご家庭では、答えを教えなくても大丈夫です
文章問題で子どもが止まっていると、
つい、
「これはこうやるんだよ」
と教えたくなることもあると思います。
でも、すぐに答えまで教えなくても大丈夫です。
例えば、
「何が分かってる?」
「図にできない?」
「数字を並べてみた?」
「絵にしたらどうなる?」
こう聞いてみてください。
それだけでも、
「そうか、何か書けばいいのか」
と思い出すことがあります。
そして、自分から何かを書き始めたら、
正解していなくても、
「そこまで自分で考えたんだね」
と声をかけてあげてください。
答えが合ったことだけではなく、
自分で考えようと動いたこと
を認めてもらうことが、その次の挑戦につながります。
「すぐ諦める」から「ちょっとやってみる」へ
小5くらいになると、
問題そのものが少しずつ難しくなります。
だから、すぐ答えが分からない問題が増えてくるのは当然です。
大切なのは、
すぐに解けることではありません。
分からないときに、
「じゃあ、何をしてみようか」
と次の一手を出せることです。
図を書く。
表にする。
線を引く。
絵にする。
簡単な場合で試す。
こうした「考える道具」を一つずつ増やしていきます。
その積み重ねが、
「無理」から
「ちょっとやってみよう」へ。
そして、
「あ、分かった」
につながっていきます。
小学5年生の今は、その力を育てるのにとてもいい時期です。
この秋も、
計算だけではなく、
自分で考えて答えにたどり着く力
を少しずつ育てていきます。

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