「わからない」を「できた!」に変える算数
「計算になると、急に面倒くさがるんです」
「学校では分かったと言うんですけど、家でやるとまた分からなくなっていて……」
小学4年生くらいになると、こういうことが少しずつ増えてきます。
低学年のころに比べて、算数の内容も一段難しくなります。
大きな数。
わり算。
小数。
分数。
図形。
文章問題。
ただ計算すれば終わり、という問題ばかりではなくなってきます。
だからこそ小4では、
「分からないから嫌だ」になる前に、
「そういうことだったのか!」という経験をたくさん作ること
を大切にしています。
「できない」のではなく、まだ頭の中でつながっていないだけかもしれません
授業をしていると、
「この子は算数が苦手なんだな」
と思ってしまいそうな場面があります。
例えば、
10円が10個で100円。
大人には当たり前です。
でも子どもによっては、
「100円の中に10円がいくつある?」
と聞かれると、急に手が止まります。
計算として、
100÷10
と書けても、
それが何を意味しているのかが、まだしっかりつながっていない
ことがあります。
そんなときに、
「100÷10でしょ。覚えて」
だけで進めても、次の問題でまた止まります。
そこで授業では、
実際のお金をイメージしたり、
10円玉を並べて考えたり、
絵に描いたりします。
10円、20円、30円……
と並べていくと、
「あ、10個で100円だ」
と分かります。
すると、
100÷10=10
という計算にも意味が出てきます。
分かった瞬間、子どもの表情が変わります
こういうとき、
それまで難しい顔をしていた子が、
「あっ!」
となる瞬間があります。
この瞬間が、とても大事です。
「先生に答えを教えてもらった」
ではなく、
「自分で意味が分かった」
という経験だからです。
一度こういう経験をすると、
次の問題でも、
「これも同じかな?」
「ちょっとやってみようかな」
と動けるようになります。
算数を得意にしていく最初の一歩は、
難しい問題を解かせることではなく、
「自分にも分かる」という感覚を増やすこと
だと思っています。
小数も、数字だけを見ていると分かりにくいことがあります
例えば小数。
0.1
0.01
という数字を見ただけで理解できる子もいます。
でも、
「0.1が10個集まると1」
「0.01が10個集まると0.1」
という感覚がまだ曖昧な子もいます。
そういうときも、
数直線にしてみる。
マスで表してみる。
実際の長さで考えてみる。
見える形にすると、
「ああ、そういうことか」
となることがあります。
小4では、この
「数字だけでは分からないものを、見える形にする」
ことをとても大事にしています。
「算数が苦手」になる前にしておきたいこと
算数が苦手になる子を見ていると、
最初から何もできなかったわけではありません。
小さな「分からない」が残る。
次の単元へ進む。
また少し分からない。
それが重なって、
ある日、
「算数、嫌い」
になってしまうことがあります。
だから、
「ちょっと分からない」
の段階で戻ることが大切です。
どこから分からなくなったのかを見つける。
そこまで戻る。
絵や図、具体物を使ってもう一度考える。
そして、
「分かった」まで持っていく。
小4の今なら、まだ十分にできます。
「間違えた」は悪いことではありません
子どもは間違えると、
消しゴムで急いで消そうとします。
「違った!」
「ダメだった!」
と思うのでしょう。
でも、授業では、
間違えたところこそ大事
だと伝えています。
なぜ間違えたのか。
どこまでは合っていたのか。
何を勘違いしたのか。
そこを見ると、
次に同じ間違いをしにくくなります。
間違えること自体が問題なのではありません。
分からないまま終わることの方が、ずっともったいない。
だから、
「ここ間違えたね」
ではなく、
「ここで分からなくなったんだね。じゃあ、ここからやってみよう」
と戻ります。
「算数って面白い」は、分かったあとに出てきます
最初から算数が大好きな子ばかりではありません。
むしろ、
「面倒くさい」
「算数嫌い」
と言っていた子が、
分かるようになってから少しずつ変わることがあります。
問題が解ける。
丸がつく。
前にできなかったことができる。
すると、
「もう一問やる」
という言葉が出てくる。
この変化はとても大きいです。
面白いからできるようになることもありますが、
できるようになったから面白くなることもあります。
小4では、特にこちらの方が多いように感じます。
ご家庭では「どうして間違えたの?」より「どこまで分かった?」
宿題を見ていると、
同じ問題を何回も間違えていたり、
簡単そうな計算で止まっていたりして、
「なんでこれが分からないの?」
と言いたくなることもあると思います。
でも、子ども自身も、
なぜ分からないのか分かっていないことがあります。
そんなときは、
「どこまで分かった?」
と聞いてみてください。
例えば文章問題なら、
「何を聞かれているか分かる?」
「この数字は何の数?」
計算なら、
「ここまではできる?」
と一つずつ確認する。
すると、
「ここまでは分かる。でもここから分からない」
という場所が見えてきます。
そこが分かれば、直しやすくなります。
答えを教えなくても大丈夫です
ご家庭で算数を全部教えていただく必要はありません。
むしろ、
「どこまでは分かった?」
「図にしてみたら?」
「前にやったノートに似た問題ない?」
くらいで十分です。
それでも分からなければ、
「じゃあ、次に先生に聞いておいで」
で構いません。
自分で、
分からない場所を見つける。
何か試す。
それでもだめなら質問する。
この流れも、これから必要になる大切な勉強の力です。
小4は「考える算数」への入口です
小5になると、
割合。
平均。
単位量あたり。
図形。
文章問題。
と、さらに考える問題が増えていきます。
小6になると、
比。
速さにつながる考え方。
分数を使った文章問題。
なども出てきます。
ですから小4の今は、
難しい応用問題をどんどんやることより、
分からなければ図にする。
数字の意味を考える。
具体的なものに置き換えてみる。
間違えたら、どこから分からなくなったか探す。
こうした算数の土台を作っておきたい時期です。
まずは「できた!」を一つずつ増やしていきます
小学4年生は、これから算数が少しずつ本格的になっていく入口です。
だからこそ、
「算数が苦手」
と決めてしまうのは、まだ早いと思っています。
分からなければ、少し戻る。
図にする。
実物で考える。
もう一度やってみる。
そして、
「あ、分かった」
を一つ増やす。
その積み重ねです。
前はできなかった問題ができた。
一人で最後まで解けた。
間違えてももう一回やってみた。
そんな小さな変化を、しっかり見ていきたいと思っています。
ご家庭でも、
「何点だった?」
だけでなく、
「今日、何ができるようになった?」
と時々聞いてみてください。
子どもが、
「これできるようになったよ」
と一つ話せれば、それは立派な成長です。
この秋も、
「分からない」から「分かった」へ。
「できない」から「できた!」へ。
一つずつ増やしていきます。









