後期の中間テストが近づき、中学生活もいよいよ後半に入りました。日々お子様と向き合い、学びをサポートされている保護者の皆様、本当にお疲れ様です。この時期、お子様が学習に少しずつ向き合い、将来に向けた基礎を築いていくことがとても大切です。
ただ、成長期の子どもたちは、親の意見に反発することもあり、「どうやって学習意欲を高めればいいのか?」と悩むことも多いと思います。そこで今回は「お子様が自然とやる気になるための方法」をお伝えします。
多くの保護者様から「やる気がない」「なかなか勉強に向き合えない」とのご相談をいただきますが、やる気は一度に生まれるものではなく、「小さな成功体験」を積むことで次第に育まれていくものです。
七海ちゃんは、最初は英単語を覚えるのが苦手でしたが、1日5つだけ覚えるようにし、そのたびに「よく頑張ったね!」とお母様が声をかけ続けました。その結果、少しずつ覚えることが苦でなくなり、今では20個の単語も意欲的に取り組んでいます。単語テストで満点が普通の状態になっています。保護者の方の声かけが、お子様の成長を後押しする大きな力となったのです。
「できる子」と聞くと、つい才能や頭の良さを思い浮かべるかもしれませんが、実は「できる子のサイクル」に乗ることが何よりも重要です。このサイクルは、子どもが小さな努力や成果を認められ、褒められるところから始まる、成長のための好循環です。
こうして「褒められる・認められる」ことから始まるサイクルが子どもを前向きに動かし、学び続ける原動力となっていくのです。周囲の大人が子どもの頑張りを認め、しっかりと褒めてあげることで、この「できる子のサイクル」を生み出し、好循環をサポートしましょう。
最大のプレゼント
春から、中1の秋が中学生活で、一番重要な時期だと説明してきました。英語も数学も、中学での基礎を確実にする時期だからです。この時期の学習を、いい加減にすると、中2.3になって、いざ、やろうとしても、基礎力がなくて、やれない、できないということになる例をお話してきました。
しかし、子ども達は、今、そんなことを何も感じないでいます。無理もありません。経験してないのでわからないのです。中3の時には、こうなるだろうなと考えられるほど大人ではありません。
だから、教えてあげないといけません。しかし、この時期は、一言えば、文句が十になって返ってくる。そんな反抗期のど真ん中です。小学生の頃と違って、なかなか親の思う通りには動かなくなってきています。いい意味でも、そして悪い意味でも【中学生】になってきました。
そんな時期だからこそ、【今】の過ごし方が、今後を決定するのです。上手な導きが必要な時なのです。面談で、お話していると、子どもに文句を言うことを、 「ケンカになってしまうから我慢しています」というせりふによくあたります。その気持ちよ~くわかります。 私も家では、言ってどうせ反発されるなら、言わずにおこう。そのうち気がついてくれるだろうとついつい思いますもの。
でも、でも、多くのご家庭を見てきましたが、そんなやりかたで、成功している家庭はほとんどないって感じです。むしろ、こんなくくりができそうです。成績のいい子の家では、子どもが「ウチの親、言い出したら聞かない」と言い、成績不振の子の家では、親が「ウチの子、言い出したら聞かない」といています。
できる子にするご両親が、使う方法
「うちの子、やる気がなくて、成績ボロボロなんです」 「ちょっとやる気になってくれさえすれば・・・もともと頭が悪い子じゃないんです」
こんなお父さん、お母さん方がいらっしゃいます。 皆さんのところはどうです? ここで少し「やる気」について考えてみたいと思います。
「やる気」って、次から次へと自然にわき出てくるものではないですよね。でも、たま~に「やる気」ってわいてくることありますよね! どんなときですか? わいてくるときって?
これがわかれば、その状況をつくることにより、「やる気」をわき出させることができるハズです。 どうですか、思い浮かびます?
たとえば、仕事で「やる気」がわき出る時ってどんなときですか? こんなときではないですか? 「ちょっと、仕事がうまくいったとき」 経験ないですか? うまくいったときは、「よ~し、もっと頑張るぞー!」って自然に思いませんか。
また、そんなときは、いつもは嫌いな上司のアドバイスも素直に聞けたりもするのです。妙に自分に厳しくなったりもしてね。
で、 実は、子どもも同じなのです。学校の小テストが少し良かっただけで、「よ~し、もっと頑張るぞー!」って気になるのです。つまり、「ちょっと、うまくいった」という状況をつくり出すことができれば、「やる気」をわき出させることができるのです。
ということはですよ。いいですか。 「ちょっとうまくいった」を、意図的に作って、褒めてあげられる状態を作ることを考えたらどうでしょうか。そうすれば、子どもの「やる気」も出てくる。そして、成績も上がるわけです。
「ちょっとうまくいった」を、作り出して、それを褒める。本当は、周囲の人たちから「できる」・「すごい」と言われることが、子どもを一番成長させます。しかし、周りの人たちから、褒められるまでの間は、お父さん・お母さんが褒める係りです。
具体的な方法
特別レポート:できる子にするお父さん、お母さん
長年教えていますと、成績のよい子の共通点が見えてきます。できる子はみんな、『自分はできる』と思っています。みんな「できる子のサイクル」※1に乗っています。
「褒めればいいとよく聞きますが、何を褒めればいいのでしょうか。うちの子には褒めるところがないので、困っています」 こんな相談がよくあります。
「できる子にするお父さん、お母さん」の違いはココにあります。「何を褒めればいいのでしょうか」、「うちの子には、褒めるものがない」なんて言ったりしません。もちろん、子どもにただ「勉強しろ」なんて言ったりもしません。 では、どうするのでしょうか。
こんな感じでやっています。最初は、子どもがやりやすい一つのことを選んであげるのです。 「勉強しなさい」では、子どもの行動は変わりません。これでは、子どもも変わりようがありません。だから、褒めるところが見つからないのです。
多くの方が、こういう言い方で、終わってしまって失敗しています。最初は子どもの行動を変えることがポイントです。子どもも「なぁんだ。これだけやればいいのか」と思えば、 行動しやすくなります。
だから、なるべく子どもが、やりやすく、あとあとの学習が楽に なるものを選んで、「○○をやりなさい」と決めてあげてください(勉強以外のテーマでもOKです)。
子どもが行動しやすくなる状態を作ります。 そして、励まし続けてください。声がけが大切です。 やることがきまって、前より少しでもやるようになったら、 まずそれが、最初に褒めることです。
でも、ここであまり褒めすぎないように。 成果が出ていないのに、あまり褒められると 子どもは「?」と感じてしまいます。この段階では、褒めるより励ます・応援するって感じがいいようです。これには、できるまでしつこく見守るって意味も含まれています。この行動が続くように、褒めてあげてください。
ここで、重要な注意点です。間違わないでください。成果が出たらで、褒めるのではありません。 挑戦している間、褒めるのです。 行動が変われば、自ずと成果は現れます。
成果が出れば周りが、褒めてくれます。本当に「できる子のサイクル」に乗っていけます。だから、成果が出るまでの辛い時期に、この行動が続くように、褒めてあげることが大切なのです。
行動に対して、いい思いをさせてあげてください。いい。いいぞ。よくなっている。 そうです。「できる子のサイクル」に乗りかかったのです。ココで【認め】られないと、子どものヤル気は長続きしません。
褒めるときは、「いいぞ。よくなっている。」のように進行形で 褒めると子どもの方も受け入れやすくなります。「良くなった」と断言されると、逆に「本当かな」と反射的に思ってしまう自信のない子が多いものです。
できる子のサイクル
できる子には共通点があります。頭がいいことではありません。 できる子は「できる子のサイクル」に乗っています。 できる子ほど学習でいい思いをしたことが多いのです。
子どもをできる子のサイクルに乗せるには、学習でいい思いを少しでも多くさせることです。そのためには、学習でいい思いができる経験を意図的につくってあげることが有効です。
具体的に何にするかは、個別面談の際にご相談下さい。Maxは、個別面談をお父さん、お母さんとの作戦会議と考えています。今後どうするのか。どうしたいのか等について情報交換する場にしたいと考えています。
よくある三者面談では、こんな感じになりがちです。お父さん、お母さんが言いたいことを、我々が子どもに言って、子どもが「ハイ。わかりました」(その場を乗り切るために、子どもも「ハイ」と言う)と返事する。これがよくある三者面談です。でも、これでは明日から何も変わらないことを経験上、嫌というほど味わっています。
叱るときも、【行動】を対象にします。その行動が、いいか悪いか、ハッキリ明確にしてあげます。行動が対象です。人格が対象ではありません。だからズケズケ言っていいのです。対象が行動の方が、子どもも安心して聞けます。
子どもに最大のプレゼント
自分の都合のいいように解釈するのが、子どもの習性です。
親の方で、我慢して何も言わないと、「親は何も言わないし、これでいいかぁ」ぐらいに思っていると考えた方がいいと思います。
だから、親の方が、大人の判断で、ここは言い合いになってしまうからと我慢しても、子どもには、何も伝わっていないんです。 「できる子にするお父さん・お母さん」は、子どもが実行できそうなことをに絞って、それができるようになるまで、励ましたり、褒めたりしながら、時に怒りを爆発させながらしつこく見守るのです。
最後にこんな文章を紹介します。書いてくれたのは、昔の教え子です。今では、お医者さんになりました。
文 :吉野 菜々子 鶴谷小中 → 宮城一女 → 山形大学医学部→ 日本海病院(酒田)勤務
夢をかなえて、お医者さんになりましたが、スタートからスムーズにいったわけではありません。お母さんが、がんばったんです。 この子の、お母さんは、「できる子にするお母さん」でした。
言い出したら絶対に引かないお母さんでした。この子も、この子の兄も、中3の後半には、2人とも異口同音、こんなこと言っていました。
『ウチの親はすごい。ちょっと約束を破ると、そこに座りなさいって、1回、始まったらもう大変。絶対に3時間は説教が終わらない。月末だと店が忙しいのに、本当に申し訳なく思うし、もうそんなことさせられない』
子どもとぶつかると、心が痛みますが、子どもも、今は反抗しても、後からわかるんです。 「人生の選択肢が増えた」って。親から子への最大のプレゼントでした。今では、「やらせてくれた親に感謝している」は、子どもから親への最大のプレゼントでしょうか。