ニホンゴ ダイジョウブデスカ?
英語の授業中のことでした。 長文を読んで、内容吟味の問題に、「リンゴが何個かありますか」(Do you have any apples?)という設問がありました。 その設問に対して、「3個あります」と答える子がいます。
ん?
あれ? と思って、他の子に聞いてみると「3個です。」 君は? 「3個」 あなたは? 「エエ~。3個じゃないんですか~」
エッ、も、も、もしかして
と思って、日本語で確かめて見ました。「何個ありますか」と質問しても、「何個かありますか」と質問しても、彼らの解答は同じでした。お宅のお子さん大丈夫でしょうか?
「明日ないし」
こんなこともありました。授業中、「この宿題は、明日ないし明後日には出してください」と言いました。その後、授業を進めていて、授業の終わり際に、「明日は、図形の単元に入るからコンパスを持ってくること」と言うと、
2~3人の子が、「先生、明日ないって言った」と口をそろえて言うのです。 私にはまったくそんなことを言った覚えはありません。「何、言ってんだ。そんなこと言ってない」と言うと、「言った」 「言ったよ」 「言った。言った」と複数の子が言うのです。
「いつ言った?」とやり取りしていると、別な子が、「違うよ。さっき先生は、宿題を明日か明後日に出せという意味で、「明日ないし明後日」と言ったの。それは「明日ない」ってことじゃないよと助け舟を出してくれました。
なるほど、「明日ないし」か。お笑いネタだね。こりゃ。ほんとに日本語が通じない子が増えてきています。
夏目漱石の「こころ」の一節です。
Kの果断に富んだ性格は私によく知れていました。彼のこの事件に就いての優柔な訳も私にはちゃんと呑み込めていたのです。つまり私は一般を心得た上で、例外の場合をしっかり捕まえた積もりで得意だったのです。ところが、「覚悟」という彼の言葉を、頭の中で何遍も咀嚼しているうちに、私の得意はだんだん色を失って、仕舞いにはぐらぐら揺き始めるようになりました。私はこの場合も或いは彼にとっては例外でないかも知れないと思い出したのです。凡ての疑惑、煩悶、懊悩、を一度に解決する最後の手段を、彼は胸のなかに畳み込んでいるのではなかろうかと疑り始めたのです。
友人Kが自殺する少し前あたりの段階です。 どうでしょうか。子どもたち、読みとれるでしょうか。「果断」「咀嚼」「煩悶」「懊悩」など、読み仮名がついていたとしても、意味がわかるでしょうか。
中1ではまだ少し早いとしても、中学の後半、遅くても高校の前半には、漱石も教材として出てきます。その時までに、子どもたちがこれらの単語の意味を知る機会があるのでしょうか。 「こころ」は、1914年に朝日新聞に連載されました。約100年前の作品です。
100年経てば、もう古典なのか。夏目漱石の文章は外国語で書いてある。なんて、笑えない話になりそうで心配です。
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12月の面談で気になったこと
「うちの子、言うこと聞かないから」 昔から時々聞く話ですが、その数がとても多かったので心配です。子どもの扱いは、難しいものですね。 しかし、これまでの経験から言えば、このようにおっしゃられた方で、 その後、子どもが中3になって、期待通りにがんばって、うまくいったケースに出会ったことがありません。
むしろ、期待とは反対の結果になることがほとんどです。 「うちの子、言うこと聞かないから」とお感じの方に、是非、聞いて欲しいのです。
一体、何が問題なのでしょうか?
嫌がられることを承知の上で申し上げます。それは、子どもの問題として捉えている点にあります。それでは、子どもは変わりません。イヤ変われません。成績も上がりません。
なぜ、そんなことが言えるか。多くの子どもを見てきて、気づいたこと。それは、子どもは、相手によって態度を変える。子どもは、相手によって態度を使い分けます。なかなか巧みですよ。
ということは、もう手遅れなのか。なんて思うのはまだ早いですよ。 あくまでも、今はこの状態ということです。この状態は、変えることができます。 子どもが「何」を基準に、言うことを聞く、聞かないを決めているか?を知ることです。
冬休み前にこんな場面がありました。仲のいい3人組の男の子たち。A君とB君が冬休み中にA君の家に泊まりに行く相談をしています。いつも一緒のC君が相談の輪の中に入っていません。
「何だ。ケンカでもしたのか」とC君に声をかけると、C君からの返事は「ケンカなんかしてないです。A君の家に泊まりに行きたいと言っても親はOKしない。ウチの親はそういうのダメなんです。兄貴も高校生になってはじめてOKもらったんです」という内容でした。
C君は親が何を許可して、何は許可しないか知っているのです。 じゃ、ダダをこねる時は? そう。それは、勝算があるからダダをこねるのです。
私たちも経験します。宿題を多く出す時があります。そんな時に子どもは必ずブーイングします。ここで、宿題を減らしたりなんかするともう、大変です。次回からは量が多くなくてもブーイングします。 本当は、子どものブーイングで減らしたのではなく、別な考えがあって減らしたとしても、子どもの目には、ブーイングによって減らす人と写ったのです。
こうなったときは、子どもの目から見て、時々甘くなったり、時に厳しくなったりせず、いつも同じ姿勢を示し続けることで回復できます。特に、「親は勝手だ」と不満を言う子は、子どもの目から見ると、親はダブルスタンダードだと感じているのです。
最後に長く教えていて気がついた事をもう一つ。
成績のよい子は、「ウチの親は、言い出したら聞かない」とよく言います。成績不振の子の親御さんは、「ウチの子は、言い出したら聞かない」とよく嘆かれます。
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