中学校に入学して、約半年がたちました。
学校生活にも慣れ、部活動のある毎日も、すっかり当たり前になってきた頃だと思います。
勉強も、前期までは比較的取り組みやすい内容が多く、
「今までとそれほど変わらないかな」
と感じていた子もいるかもしれません。
ところが、中学1年生の秋から、勉強は少しずつ本格化します。
数学では、方程式や文章問題。
英語では、be動詞と一般動詞の使い分け、疑問文や否定文。
国語や理科、社会でも、覚える言葉が増え、「なんとなく」では答えられない問題が多くなります。
ここから必要になるのは、勉強時間を増やすことだけではありません。
勉強の内容が本格化するのに合わせて、勉強のやり方も本格化させていくことが大切です。
小学生のときと同じ勉強では、苦しくなります
小学校では、授業を聞き、その場で問題を解けば、ある程度できる内容も多くありました。
ところが、中学校の勉強では、
- 覚えることを自分で確認する
- 例題を見ながら解き方を整理する
- 習った方法を使って自分で解く
- 間違えた理由を確かめる
- もう一度、自分でやり直す
という流れが必要になります。
授業を聞いて「わかった」で終わるのではなく、自分でできるところまで練習することが求められるのです。
勉強内容だけでなく、「勉強の仕方」も小学生型から中学生型へ切り替える時期に来ています。

「授業ではわかったのに、家ではできない」のはなぜ?
授業中にはうなずいていたのに、家で一人で宿題に取り組むと、手が止まってしまう。
これは珍しいことではありません。
授業中は、
「最初にここを見よう」
「次はこの式を書こう」
「ここでは、この決まりを使おう」
と、考える順番を示しています。
ところが、一人で問題に向かうと、その案内がなくなります。
すると、
- 最初に何を見ればよいのか
- どの例題を使えばよいのか
- 何を覚えておけばよいのか
- どの順番で考えればよいのか
がわからず、手が止まってしまいます。
これは必ずしも「授業を聞いていなかったから」ではありません。
説明を理解することと、一人で再現することは、別の段階だからです。
授業でわかったことを、自分一人でもう一度できるようにする。秋からは、この練習がとても大切になります。
今年は「勉強のやり方」を少し丁寧に
今年の中学1年生を見ていると、例年より少し丁寧に、勉強のやり方から確認する必要があると感じています。
新しい解き方を説明すると、その場では理解できています。
ところが、一人で取り組ませると、目の前にある例題のどこを真似すればよいのかわからないことがあります。
また、後から見直すためのノートが、十分に作れていないこともあります。
英語では、「主語」「動詞」「be動詞」といった基本的な言葉の意味が、まだ曖昧な子がいます。
数学でも、方程式を勉強する前に、分数の計算に戻って確認した方がよい子がいます。
だからといって、「勉強ができない」と決めつける必要はありません。
今はまだ、知識と勉強の手順が、うまくつながっていないだけです。
必要なのは、難しい問題をたくさん解くことよりも、
「何を覚えるのか」
「何を見て解くのか」
「どの順番で進めるのか」
を一つずつ意識して進めることです。
まずは「例題を正しく真似する」ところから
最終的な目標は、自分で考えて解けるようになることです。
しかし、新しい内容を習ったときから、何も見ずに解く必要はありません。
最初は、例題を見ながらで大丈夫です。
大切なのは、答えを写すのではなく、例題の中から、
- 最初に何をしているか
- 次に何を書いているか
- どの決まりを使っているか
- 自分の問題と違うのはどこか
を見つけることです。
勉強の基本は、次の順番です。
例題を見る
↓
解き方の手順を理解する
↓
同じ順番で解く
↓
例題を閉じる
↓
もう一度、自分で解く
スポーツでも楽器でも、最初はお手本を真似します。勉強も同じです。
正しいやり方を真似できるようになってから、一人でできる状態へ進みます。
授業の翌日に、もう一度やってみる
ご家庭で特におすすめしたいのが、授業の翌日に、
「昨日、塾でやった問題を、もう一度全部やってみよう」
と声をかけていただくことです。
授業中は、私が説明しながら一緒に問題を進めています。
どこを見るのか。
何を使うのか。
どの順番で考えるのか。
そうした説明を聞きながら解いているため、その場では「わかった」と感じます。
しかし、本当に大切なのは、翌日、自分一人でも同じように解けるかどうかです。
まずは、できるだけノートを見ずに解いてみます。
途中でわからなくなったら、授業中に書いたノートを開きます。ノートには、問題だけでなく、答えや解き方も残っているはずです。
ただし、答えを写して終わりにはしません。
ノートで解き方を確認したら、いったん閉じて、もう一度自分で解いてみます。
このやり直しによって、
「授業中はわかったつもりだったけれど、一人ではまだ解けない」
「説明を聞けばわかるけれど、自分で最初の一歩を決められない」
「後から自分で解くためには、ノートに何を書いておけばよいのだろう」
ということに、本人が気づけるようになります。
自分がどこで止まるのかがわかれば、
「では、どこを覚えればよいのか」
「どの例題を見ればよいのか」
「次は何に注意すればよいのか」
を考えられるようになるからです。
授業の翌日にもう一度解く目的は、できないことを責めるためではありません。
「説明を聞いてわかる」から、「一人でもできる」へ進めているかを確認するためです。
この確認を習慣にすることが、自分で勉強できるようになるための大切な一歩になります。

ノートは「きれいさ」より、「もう一度できるか」
中学生になると、ノートの役割も変わります。
授業中に黒板を写しただけでは、家で見直したときに、何をすればよいのかわからないことがあります。
ノートに残しておきたいのは、主に次の4つです。
- どんな問題だったか
- どの順番で解いたか
- どこが大切だったか
- どこを間違えやすいか
ノートは、後から自分が見て、もう一度同じようにできるようにするためのものです。
字をきれいにそろえること以上に、
「このノートを見れば、自分でやり直せる」
という状態を目指したいと思います。
問題数を増やす前に、間違えた1問を解き直す
「たくさん問題を解いたのに、次のテストでも同じところを間違える」
そんなことがあります。
問題を解いて、丸つけをして、答えを見て「あ、そうか」と思う。そこで次の問題へ進むと、答えはわかっても、自分一人で解けるようになったかどうかは確かめられません。
間違えたときは、まず原因を一つ探してみましょう。
- 計算のどこで間違えた?
- どの決まりを使うか迷った?
- 問題文のどこを読み落とした?
- 最初の一歩がわからなかった?
原因がわかったら、「次はここを見る」「先にこの式を書く」のように、次にすることを短い言葉にします。そして、答えや解説を閉じ、同じ問題をもう一度、自分で解いてみます。
たとえば、「マイナスの符号を見落とした」と気づいたなら、次は式を書き写すときに符号を確認する。「疑問文でdoesを使うとき、動詞のsを残してしまった」と気づいたなら、次は動詞の形まで確かめる。そこまでできて、初めてその間違いが次の問題に役立ちます。
最初から、間違えた問題を全部この方法で直さなくても構いません。まずは一日1問。「なぜ間違えたか」を言葉にして、解き直す。 そこから始めてみてください。
今年の中学1年生を見ていると、問題を解くことには取り組めても、間違えた後に立ち止まって考えるところは、まだ練習が必要だと感じます。
「なぜ間違えたのか」。そして、「次に同じ間違いをしないために、何を見て、どう進めればよいのか」。
そこまで考えてから、もう一度解く。塾でも、この一連の練習を丁寧に重ねていきます。
ご家庭では、この3つを聞いてみてください
保護者の方が、数学や英語を教える必要はありません。
ご家庭でお願いしたいのは、「できた?」「終わった?」だけでなく、次の3つを聞いていただくことです。
①「今日は何を覚える勉強だったの?」
「数学をやった」ではなく、
「分数のたし算・ひき算では、先に分母をそろえる」
「現在形で主語がheなら、be動詞はis」
など、今日覚えることを一つ言えれば十分です。
②「似た例題は、どこにある?」
わからない問題があったときは、すぐに答えを見るのではなく、教科書やノートから似た例題を探します。
例題を見ながら解けたら、次は見ないでもう一度解きます。
③「どうして、その答えに直したの?」
間違い直しのあとに、理由を一つ聞いてみてください。
「主語が違ったから」
「符号を間違えたから」
最初は、このくらいの短い言葉で構いません。
この3つの質問によって、家庭学習が「問題を終わらせる時間」から、「できることを増やす時間」に変わっていきます。

毎日の家庭学習は、最初は15分でも構いません
授業の翌日は、塾で取り組んだ問題をもう一度解くことをおすすめします。
それとは別に、毎日の家庭学習を始めるときは、最初から長時間取り組む必要はありません。
たとえば、次のような15分です。
5分
今日覚えることを一つ確認する。
5分
例題を見ながら、同じ種類の問題を1問解く。
5分
例題を閉じて、同じ問題をもう一度解く。
「数学を勉強する」では、やることが広すぎます。
- 分数の計算を1問解く
- 方程式の例題を1問真似する
- 英文を3つ、主語と動詞に分ける
- 英単語を5個覚えて、見ないで書く
このように、やることを小さく、具体的にします。
最初は量が少なくても、
「今日は、これができるようになった」
と言える勉強を積み重ねることが大切です。
秋は「勉強のやり方」を身につけるチャンスです
中学1年生の秋は、勉強が難しくなり始める時期です。
一方で、自分に合った勉強のやり方を身につける、とてもよい時期でもあります。
授業を聞いて終わりにせず、自分でもう一度やってみる。
わからなければ、似た例題を探す。
間違えたら、理由を一つ確かめる。
この流れが身につけば、これから学習内容が難しくなっても、自分で立て直せるようになります。
塾でも、答えの出し方だけでなく、
- 何を覚えるのか
- 例題のどこを見るのか
- どの順番で考えるのか
- 間違いをどう直すのか
- 家でどう復習するのか
という「勉強の進め方」を、これまで以上に丁寧に確認していきます。
最初は一緒にやり、次は少し手助けをし、その次は一人でやってみる。
その繰り返しで構いません。
勉強の内容が本格化する中1の秋。
この時期に、勉強のやり方も少しずつ「中学生仕様」に変えていきましょう。
成績を上げるために、ただ勉強量を増やすのではありません。
自分で勉強できるようになるための準備を始める。
それが、この秋にいちばん大切にしたいことです。

