前回のブログでは、
国語力の土台となる「語彙力」についてお話ししました。
(前回の記事リンク)
語彙があいまいなままでは、文章は読めません。
これは、多くの方がイメージしやすいと思います。
ただ、実際のテスト現場では、
「文章は読めているはずなのに、なぜか点数が取れない」
という子が、とても多いのも事実です。
テストが返ってきたとき、
・「これ、何を答えればいいの?」と聞いてくる
・本文は読んでいるのに、答えがズレている
・「惜しい!半分合ってるのに!」というミスが続く
そんな場面はありませんか?
つい、
「またケアレスミスして!」
と言ってしまいがちですが、
その一言が、ズレの原因を見えにくくしてしまうこともあります。
実はこれ、
ただの不注意ではありません。
語彙の次につまずきやすいポイント、
それが今回のテーマ、
「設問(問いかけ)」の読み取りです。
なぜ「設問」の読み取りが重要なのか?
ここで、少しイメージしてみてください。
お子さんがスーパーへ「お買い物」に行くとします。
- 何も決めずにスーパーへ行き、
商品を端から端まで見て回る - 「今夜はカレー」と決めてからスーパーへ行き、
肉と野菜だけを探す
どちらが早く、正確に買い物を終えられるでしょうか?
当然、
②「カレーと決めてから行く」方ですよね。
国語も、まったく同じです。
- スーパー = 本文(情報がたくさん)
- 今夜のメニュー = 設問(何を探すべきか)
国語が苦手な子は、
メニュー(設問)を見ないまま、
いきなり巨大なスーパー(本文)に入って迷子になっている状態
なのです。
今の子どもたちに多い「設問読み取りのズレ」
特に多いのが、次の2つです。
① 設問を「流し読み」してしまう
- 「なぜ」「どのように」「理由を二つ」
といった重要な条件を読み飛ばしてしまう
② 設問を“会話文”のように読んでしまう
- 聞かれたことを整理せず、
思いついたことをそのまま書いてしまう
具体例で見てみましょう
例えば、こんな設問です。
問:筆者がこの経験を通して学んだことを、理由とともに答えなさい。
これに対し、多くの子がこう答えてしまいます。
× 惜しい解答
「失敗したけれど、最後まで諦めずに頑張ったこと。」
一見、合っていそうですが、
これだと 「理由」 が抜けています。
設問という「買い物リスト」には、
「理由も買ってきてね」
と書いてあったのに、
それを買い忘れてしまった状態です。
家庭でできる対策
「答え」を書く前に、勝負は決まっています
ここでも、特別なドリルは必要ありません。
ポイントは、
「答えを書かせないこと」です。
【家庭でできる設問トレーニング】
① 設問だけを先に一緒に読む
本文は後回しでOKです。
まずは「買い物リスト(何を探すか)」を確認します。
② 条件に「しるし」をつける(ここが重要!)
ただ読むのではなく、
必ず鉛筆を持たせます。
例:
傍線部について、筆者がそのように考えた理由を、
文章中から二つ書き抜きなさい。
- 聞かれていること(理由)を〇で囲む
- 数(二つ)や条件(文章中から)に線を引く
③ 「どう答えればいいか」を言葉で確認する
答えを書く前に、口頭で作戦会議です。
親「これは何を聞いてる?」
子「理由!」
親「いくつ答えるの?」
子「二つ!」
親「じゃあ、答えの最後はどうなる?」
子「~から、で終わる!」
ここまで確認できたら、
初めて本文を読みに行かせます。
「何を探せばいいか」が分かっているので、
読むスピードも、正確さも一気に上がります。
テスト直しのやり方を変えてください
もし、テストで設問の読み間違いをしてしまったら。
「正しい答え」を赤で書いて終わりにしていませんか?
それだけでは、
次も同じ間違いを繰り返します。
大事なのは、
答えの訂正ではありません。
- 「理由」に赤丸をつける
- 「二つ」に赤線を引く
読み落とした設問の条件に印をつけること。
これが、本当のテスト直しです。
合格屋マックスとしての考え方
合格屋マックスでは、
- 国語=センス
- 国語=才能
とは考えていません。
設問の読み取りは、
完全に「後天的に身につく技術」です。
「またケアレスミスして!」と叱る前に、
ぜひ、こう声をかけてみてください。
「買い物リスト(設問)、ちゃんと見た?」
それだけで、
お子さんの国語への向き合い方は大きく変わります。
まとめ
これは「ケアレスミス」ではありません
答えがズレるのは、
注意力が足りないからではありません。
設問の条件を、正しく読めていないだけ。
ここに気づくだけで、
国語は確実に安定していきます。
「うちの子は、設問のどこでつまずいているんだろう?」
そう迷われたら、
テストや答案用紙を持って、ぜひ面談にお越しください。
一緒に、ミスの本当の原因を見つけましょう。
▶ 受験直前!国語対策シリーズ
第1弾
国語が苦手な本当の理由は「読解力」ではありません
(語彙・言葉のイメージ不足への対策)
第5弾
【国語シリーズ完結】「国語はセンス」だと思っていませんか?

